カール・グスタフ・ケンプ

ラインハルトが元帥府を創設した際に旗下に加えた提督の一人。ローエングラム体制成立直後においてはキルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールに次ぐ地位を持った人物だった(階級は中将)。もともとはパイロットで撃墜王として有名を馳せた人物で、司令官としてもその公正な人柄から部下からの人望が厚かった。

ローエングラム体制初期における提督の中では最も有望視されていた一人だったが、ミッターマイヤーやロイエンタールと比べると能力と実績で劣っており、そのぶんを挽回する意味を込めてイゼルローン要塞攻略戦の司令官に任命された。

イゼルローン要塞攻略戦

科学技術総監シャフトがの提案でガイエスブルク要塞をイゼルローン回廊までワープさせて「要塞によって要塞を陥落させる」作戦が実行されることになる。直径45kmもの質量をワープさせることは技術的にとても困難なもので当初、作業は難航を極めたがケンプとミュラーの献身もありついに成功する。

この成功を持って第8次イゼルローン攻防戦が開始されることになる。司令官にケンプ、副司令官にミュラー就任し16,000隻の艦隊で攻略戦を行うことになった。

当初イゼルローン司令官を務めていたヤンがハイネセンで行われていた査問会に呼び出されていたこともあり、司令官不在のイゼルローン要塞に対し攻略戦を有利に進めていた。ヤンの代理として司令官を務めたキャゼルヌは後方勤務においては優秀な人物だったが、前線の司令官としては経験と能力に乏しかった。

そのため一流の司令官であるケンプは常に先手を取り、一時は要塞に肉薄するまでに至ったがメルカッツの活躍もあって要塞内への侵入を果たすことはできなかった。

その後ヤン・ウェンリーが要塞に帰還したのを機に形勢が逆転。ケンプ艦隊は9割以上の損失を出して敗走。ケンプ自身は戦死し、副司令官のミュラーも負傷して帝都へ戻ることになった。この敗北はローエングラム体制以後の帝国において最初で最後の大敗北となった。

人物評

司令官としては優秀であったが柔軟性に欠ける部分があり、副官であるミュラーとも意見が対立すると一方的に退けていた。しかし意見を全く聞かないわけではなく、具申の内容によっては自らの案を修正することもあった。

また帝国軍人の鏡のような人格者で父親としても司令官としても周囲の人間から好感を持たれていた。おそらくケンプが用兵家としての才覚ではミュラーやワーレンに及ばないにも関わらず、彼らよりも重宝されていたのはこの人柄が大きく関わっているのではないか。

人物ステータス

ケンプ 人物ステータス

  • ● 白兵戦
  • 8点。撃墜王と呼ばれたパイロットで筋骨隆々の肉体をしている。戦闘能力にはかなり自信を持っていただろう。

  • ● 統率力
  • 7点。アムリッツァ前哨戦でヤンと対峙した際もイゼルローン攻略戦の際も高い統率力を見せている。相手がヤンのような超一流の用兵家でなければそう簡単には負けないだろう。

  • ● 人望
  • 8点。イゼルローン攻略戦の途中からミュラーとの関係はあまり上手く行っていなかったが、ケンプの死を聞いたミュラーは深く悲しんでいた。またケンプのほうも死に際に「ミュラーに詫びておいてくれ」と発言し、司令官としての責任感の強さをうかがわせた。

  • ● 決断力
  • 6点。戦術決定のような細かい事柄に関しては即断できる。

  • ● 分析力
  • 4点。ミュラーがヤン不在の事実に気付いたのに対し、ケンプは確信を持てなかった。常識を優先してしてしまうタイプで、そこにケンプの弱点があった。

  • ● 権謀術数
  • 2点。典型的な軍人肌の人間で自らの地位や名誉を謀略によって築こうとはしない。

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