自由惑星同盟の政治家。均整の取れた端正な顔立ちと巧みなメディア操作によって民主主義体制下の同盟にあって実質的な独裁体制の実現に成功した。当初ヤンやビュコックからは人気取りが上手いだけの政治家だと思われていたが、その実権謀術数に長けた人物で幾度となく訪れた政治生命の危機を逆用し自らの地位を強化する事に成功した。
その巧みな自己保身にはキャゼルヌも次第に空恐ろしさを覚えるようになり、最終的に同盟が滅亡の危機に瀕した際は自ら国を売り渡す形で自己保身を図った。その狡猾で恥知らずな姿勢はラインハルトを初めロイエンタールやミッターマイヤーなど帝国軍の首脳部からも嫌われたが、無条件降伏をする代わりに安全を保障するという約束を反故にする事は出来なかったためトリューニヒトを処断する事は出来なかった。
作中における存在意義
銀河英雄伝説の主要なテーマである「腐敗した民主主義政治」を表現するうえで欠かせない典型的な煽動政治家であり、テーマという視点で見た時、作中でラインハルトに次ぐ重要な人物だと言える。
ラインハルトは「清廉な君主独裁政治」を体現した人物で、銀河英雄伝説の主要なテーマである「腐敗した民主主義政治と清廉な君主独裁政治ではどちらが良いのか?」という問いに対して大きく関わった二人になっている。
人物評
ヤンが当初考えていた人気取りが上手いだけの人物ではない。国防委員長という戦争を推進する立場にあったにも関わらず、帝国領への侵攻作戦に対しては反対するなど物事を適切に見抜く力を備えていた。またハイネセンで軍事クーデターが起こった際は素早く地下に隠れたことによって難を逃れている。
人物ステータス
- ● 白兵戦
- ● 統率力
- ● 人望
- ● 決断力
- ● 分析力
- ● 権謀術数
3点。長身で体格もそれなりに良かったが、本業はあくまでも政治家である。白兵戦の訓練など不要だったに違いない。
6点。大衆の目を欺かせることによって社会の秩序を安定させる能力を持っていた。しかしそれは一時的にしか通用せず、彼の権力が極みに達してから間もなく帝国の進行に屈している。
3点。人気取りと人望は異なる。彼の本質を知った人間からは嫌悪され蔑まれていた。特にラインハルトの嫌悪感は凄まじく、トリューニヒトが面会に来た際も会わずに追い返している。
7点。自らの保身が関わると恐ろしいほど正確な決断を下す。それも極めて早い段階で決断しており、そのお陰で多くの窮地を脱している。
6点。帝国領への侵攻作戦に反対した事を鑑みればトリューニヒトに一定の分析能力があったのは確かである。
8点。地球教と関係を築いたり軍部内に自らの派閥を作ったりと多方面に策謀を巡らしていた。およそ政治家としては政治能力以外(つまり権謀術数や端正なルックス)で必要な部分は備えていた。