ローエングラム・フォン・ラインハルトの参謀。ラインハルトの才能を当初から見抜いていたが、軍の移動でイゼルローン要塞に勤務することになる。しかしヤン・ウェンリー率いる第13艦隊に攻め入られイゼルローン要塞は陥落。ゼークトの副将として補佐する役割を負っていたが、再三の忠告を無視したゼークトを見限って敵前逃亡をはかった。
この行為のお陰で一命を取り留めたものの、イゼルローンに駐在していた将校で唯一の生き残りとなったため処罰の対象となってしまう。この際、かねてから注目していたラインハルトの下へ行き、自らの安全を引換に忠誠を尽くすことを提案。オーベルシュタインのような謀略を用いるタイプの人間を好ましく思っていなかったラインハルトだったが、同時に自分の陣営内にそのような人材がいない事も危惧していたためこれを承諾した。
ラインハルト同様、謀略の類を好まないキルヒアイスはこの人事に反対したが、結果としてラインハルトの宇宙征服と帝国設立に関して多大な役割を果たす事になった。
主な功績
参謀としての活躍、さらには軍務尚書としての活躍は幅広く際限が無かった。特に倫理観を重視するラインハルトの決断が鈍るような場面では効率性を重視する方法を積極的に推薦し、時としてはラインハルトの意に背くような行動を取ることもあった。
中でもリップシュタット戦役の最終局面においてその姿勢は露骨に表れた。ブラウンシュヴァイク公が自らの領地であるヴェスターラントでの反乱に激怒し、報復行為として熱核兵器による攻撃をしようとした。これを見過ごせなかったラインハルトは艦隊を急行させ阻止しようとしたがオーベルシュタインは「一般市民へ核兵器を使用すればブラウンシュヴァイク公の名声は失墜する」として艦隊の派遣に反対した。
結果として戦争を早期に集結させる事ができ、それによってより多くの人命が救われるとしたオーベルシュタインの意見に対し、ラインハルトは迷い判断を保留した。しかしこの際、ブラウンシュヴァイク公の攻撃開始時刻に関し嘘の情報(予定時刻よりも遅い時刻を伝えた)を教える、結果としてラインハルトは攻撃を黙認することになった。
攻撃後この事実を知ったラインハルトはオーベルシュタインに激怒したが、判断を保留にした自分に非があると認め虚偽の報告に関しては不問にした。この一件の後、オーベルシュタインの見立て通りブラウンシュヴァイク公に対する内外の不満が高まることになり、リップシュタット戦役が終結する大きな要因となった。
人物評
ローエングラム陣営における最高の謀略家だった。キルヒアイスは「謀略によって国家は成立しない」としたが、ローエングラム王朝成立当初におけるオーベルシュタインの功績は無視出来ないもので、彼なしでは帝国の礎は築かれなかったと言っていい。
ラインハルトも彼の能力は高く評価しており「オーベルシュタインを好いたことは一度もないが、結果として彼の意見を全て聞いてきた」として、オーベルシュタインの献策がことごとく理に叶うものだったとしている。
一方でその合理主義過ぎる考えは時として組織内に不要な混乱をもたらした。
ヴェスターラントでの件はキルヒアイスが死亡する要因の一つになり、ロイエンタールとの確執は最終的に彼が離反する大きな要因となった。
ただしこのような負の部分を考慮しても尚、ローエングラム王朝における彼の役割は評価して余りあるものだった。
人物ステータス
- ● 白兵戦
- ● 統率力
- ● 人望
- ● 決断力
- ● 分析力
- ● 権謀術数
3点。生まれつき目が不自由で常に義眼をしている。体付きを見ても鍛えているようには見えず、白兵戦においてはさほど自信が無かっただろう。
6点。自らが艦隊を率いることは無かったが、正論しか言わない人物なので多くの人はしぶしぶ従うことになる。しかしオーベルシュタインの草刈りを実行した際、もともと険悪な関係にあったビッテンフェルトに殴られるなど全体の秩序を失いかけたこともあった。
2点。能力こそ評価されているものの、味方の陣営内からはかなり嫌われている。誰に対しても公平な態度を取ることの多かったキルヒアイスやミッターマイヤーですらオーベルシュタインには明らかに嫌悪感を示していた。
10点。ある意味で作中で最も決断力に富む人物だった。自分の信念や合理的に考えて正しいと思うことであれば例え倫理にもとるような事でも平然とやってのけた。この決断力は多くの場面でラインハルトの覇道を支えることとなった。
10点。イゼルローン要塞にヤン艦隊が襲来した際ヤンの作戦を完璧に看破していたわけではないが、彼の献策をゼークトが用いていればヤンのイゼルローン攻略は失敗していた可能性が高い。
10点。まさに権謀術数の人。この点にかんしては他の提督たちとは大きな差がある。特にキルヒアイスの死を利用して後顧の憂いとなるであろうリヒテンラーデ公を処罰しようとした際はロイエンタールをして「貴殿の敵にはなりたくない」と言わしめた(皮肉が込められていたが)。