新帝国歴3年7月26日皇帝ラインハルトが死亡する数時間前にオーベルシュタインも死亡した。その最期は非常にあっけないもので、皇帝を暗殺するため襲撃に来た地球教徒により誤まって殺害されてしまった。しかしこの事件に関しては幾つかの憶測がなされている。
そもそも崩壊寸前(この時残りは20人ほどしかいなかった)の地球教徒がわざわざ瀕死の皇帝を暗殺するために襲撃したのはオーベルシュタインの策略に乗ってのことだった。要するにオーベルシュタインは自らの策でおびき寄せた相手に殺されてしまったのだ。
「策士策に溺れる」と言えば話しは早いが、オーベルシュタインほどの人物がそのような間抜けなことをするのだろうか?
この点は作中でも論じられており、自らの意思で皇帝の身代わりとなったという説と、単なるミスで殺害されてしまったとされる二つの説がある。
自らの意思で殺された
生前のオーベルシュタインの地位は軍務尚書だった。この地位はミッターマイヤーや他の提督たちとは立場を異にするが、一応は帝国軍三長官の中の最高位だった(軍務尚書、統帥本部総長、宇宙艦隊司令長官の順)。そのため軍部の権力が強いローエングラム王朝にとってラインハルトの死後、自らがNo.2になってしまうことを恐れた可能性がある。
オーベルシュタインはかねてからNo.2不要論者だった。これは何らかの事情でNo.2の力が相対的にトップを上回った場合、当人の意思とは関係なしに周囲の人間の思惑によって政変が起きる危険性を危惧してのことである。
ましてオーベルシュタインのような人柄や職柄はラングのような謀略を身上とする人物が周囲に集まりやすく、必然的に反乱の温床となる可能性を秘めている。オーベルシュタインはそのような事態を想定して、あらかじめ手を打ったのではないか?
単なるミス
一方オーベルシュタインが死ねばそれこそミッターマイヤーがNo.2になってしまうという見方もある。ラインハルトの死後ミッターマイヤー以外に6人の上級大将が元帥となったが、かねてから元帥だったミッターマイヤーは首席元帥として他の元帥よりもうえの立場におり、また他の元帥にとってもミッターマイヤーは上官のイメージが強い。
これらのことを考えると、ミッターマイヤーとオーベルシュタインの地位の差よりもミッターマイヤーと他の提督たちとの差のほうが大きく、オーベルシュタインが死んだほうが権力の偏りが大きいと考えられる。