地球教団の大主教。作中に登場した地球教徒の中では総大主教に次ぐ立場だった。他の地球教徒たちが熱心的な宗教論者であったのに対し、ド・ヴィリエにとって地球教はあくまでも自らが権力を手中にするための道具でしかなかった。そのため宗教心も薄く(というよりも無かった)他の信者が総大主教を無条件に崇拝しているのに対し、ド・ヴィリエにとっては地球教と同様にお飾りの権力者という認識だった。
ワーレンの地球討伐によって地球教本部が崩壊して総大主教が死ぬと、代わりの人間を総大主教に据えて自らが実質的なリーダーとして地球教の活動を率いた。しかし憲兵隊による執拗な攻撃により地球教徒の数は激減し、物語の終盤ではわずか数十人の組織になっていた。
ド・ヴィリエは起死回生をかけてラインハルトを暗殺するために(すでにに崩御寸前だったため全く意味の無い行動だった)残った信者とともに襲撃をかけたが失敗し、逆にその時ラインハルトの邸宅を訪れていたユリアンによって射殺されてしまった。
人物評
地球教において数少ない正常な思考を持った人間で(というよりは作中に出てくる地球教徒でまとまだったのはド・ヴィリエだけだった)、正規軍を持たない地球教が銀河全体に影響を及ぼせたのは彼の謀略があったからこそだった。
しかし結果として彼の策略が中途半端に成功してしまったせいで、帝国軍の侵攻を呼び込み地球教崩壊の原因を作ってしまったことも確かだった。
人物ステータス
- ● 白兵戦
- ● 統率力
- ● 人望
- ● 決断力
- ● 分析力
- ● 権謀術数
4点。帝国軍で言えばオーベルシュタインのような人間で戦闘力には長けていないような雰囲気。ただしラインハルトを襲撃した際は自らも参戦しており、銃器もそれなりに扱えるようだった。
7点。麻薬と過度の信仰で頭がおかしくなっている連中が相手とは言え、総大主教が死んだ後も組織としての活動を継続させていた。
3点。ヤンを殺した張本人であったため、それを知ったユリアンから射殺されることになった。普段は温和なユリアンがド・ヴィリエ絶命後も射撃を止めなかったシーンからもド・ヴィリエがどれだけ恨まれていたかが分かる。
6点。自らが権力を握るためなら命を懸けてでも行動していた。
6点。謀略家として優れていた以上、分析力も常人以上にはあっただろう。ただしラインハルトという人間の力を甘く見ていたふしがある。
9点。ヤン・ウェンリーの暗殺、ロイエンタールの反逆といった歴史的な大事件を起こすことに成功した。遠い地球にあってそれらの謀略を成功させた手腕は見事と言うしかない。